いつもありがとうございます。株式会社 機材屋です。
2024/6/6、突如発表となったRoland V-80HD。
Rolandといえば弊社でも幾度となく特集したVR-6HD等、人気のスイッチャーが多いメーカーですが、今回はどんなモデルでしょうか。早速チェックしてみましょう。
>>参考資料:Roland スイッチャー簡易比較表 ※2024年4月改訂版
↑クリックでPDFが開きます
忙しい人向けに概要をざっくりと
本商品の特長を箇条書きしてみましょう。・入力はHDMI4系統、SDI4系統
・SRT対応
・タイトルやグラフィックを簡単に作成可能な無償ソフト「Graphics Presenter」に対応
・4Kダウンスケーラー搭載
・配信対応、操作性など好評な最新機能もしっかり継承した、「Vシリーズ最新型」
ではここからは詳細を。
入力はHDMI四系統、SDI四系統
Rolandのスイッチャー・ミキサーは映像の入力数が型番に反映される事があります。※VR-1HDなど例外も多いですが例えば、
・VR-6HDならHDMI6入力
・V-60HDならHDMI2入力、SDI4入力の計6入力。
・V-8HDならHDMI8入力
・V-160HDならHDMI8入力、SDI8入力の計16入力。
といったように、「SDI入力があると、桁が一つ増える」というルールもありそうです。
今回もそれにあてはまる形で、V-80HDはHDMIが4入力、SDIが4入力の計8入力です。
上記の既存機種と比較して、例えば
・V-8HDならHDMI8入力
・V-160HDならHDMI8入力、SDI8入力の計16入力。
といったように、「SDI入力があると、桁が一つ増える」というルールもありそうです。
今回もそれにあてはまる形で、V-80HDはHDMIが4入力、SDIが4入力の計8入力です。
上記の既存機種と比較して、例えば
「V-60HDではHDMIが足らない」
「V-8HDではSDI端子がそもそも備わっていない」
「でも上位モデルのV-160HDだと思った以上の価格やサイズになってしまう」
等でお悩みだったお客様に、ピッタリの機種かもしれませんね。
参考:V-80HDの背面
SRTプロトコル対応
今回のV-80HDより、AV over IPのオープンソース規格である
SRT(Secure Reliable Transport)に対応しました。
この規格の特徴としては、ローカルエリア内に加えて 公衆インターネット回線などでの伝送も考慮されています。
パケットロス時の再要求に対応した安定性、暗号化されたセキュアな伝送などの特徴を活かして、PTZカメラ映像の入力として使うことはもちろん、別の建屋や遠隔地へ送信する事が可能。いろんなシチュエーションが想像できますね。
ちなみに、このSRT対応はV-80HDの他にも、ライブ配信エンコーダーを搭載したローランドのAVミキサー「VR-120HD」、「VR-6HD」、「SR-20HD」も今後のシステムアップデートにより対応予定との事。
複数台を組み合わせることで、中継や拠点間伝送に活かせて、業務用スイッチャーとして一層活躍の場が広がります。
タイトルやグラフィックを簡単に作成可能な無償ソフト「Graphics Presenter」に対応
配信や中継などで番組タイトルやテロップ表示のような演出を行うには、まずその素材を作成する必要があります。
例えば背景が透過した文字素材や、動きのあるモーショングラフィックを扱う場合、画像や動画専用の作成ソフトがそれぞれ必要で、事前のレンダリング作業も必要です。
こういった作業は制作クオリティと時間がせめぎあうお客様にとって、ややハードルの高い状況でした。
そこで今回発表となったGraphics Presenterの登場です。
こちらでは、まず事前にダウンロードしたコンテンツプリセットを選び、
次にタイトル名など演出に応じたテキストや、その配置をエディット。
最後に、ワンボタンで作成した素材を合成可能との事。かなり簡単そうです。
なおプリセット数はリリース時点で100以上。今後定期的に追加が予定されているとの事。
テレビ番組でもよく見るような映像演出が操れるようになりそうです。
ちなみに、下記のような映像演出が可能です。
・タイトル
・字幕
・スティンガー(モーション付きグラフィック)
・スポーツ用スコアボード
・対戦タイトル
・選手リスト
・ビデオ/オーディオ、静止画、MIDI信号の送出
・QR生成
・カウントダウン時計
・タイトル
・字幕
・スティンガー(モーション付きグラフィック)
・スポーツ用スコアボード
・対戦タイトル
・選手リスト
・ビデオ/オーディオ、静止画、MIDI信号の送出
・QR生成
・カウントダウン時計
なお、Graphics Presenterは今後V-80HD以外にもV-8HD、V-160HD、VR-6HD、VR-120HDに対応予定。
対応機器と接続するだけ
メーカーサイトによると、
Graphics Presenterは、Windows 10または11搭載のPCで動作します。Roland独自の合成用のFillとKey信号は、1本のHDMIケーブルで対応するRoland製スイッチャー、AVミキサーに送信されます。
との事。これはかなり使いやすそうです。
例えば、業務用テロッパーでの運用をイメージすると…
専用ソフトを用意→FillとKey信号をそれぞれ別で2出力可能にする高額なSDI出力ボードも用意→さらにそれを受けるスイッチャーも、合成のために二つの入力端子を消費してしまう
・・・この負担を考えただけでも、かなりの利点に思えます。
V-80HDの公式PVには少しだけ操作の様子が映っていましたが、ソフトウェアの操作性や自由度などはまだまだ触ってみないと分からない事が多そうですので、続報を待ちましょう。
(個人的にはこのソフトウェア、将来的にユーザーが自作のデザインを投稿・共有できる機能が付いたりしたら面白いなと考えております。Rolandさん、よろしくお願いいたします。)
4Kダウンスケーラー搭載
地味に驚いたのはこの機能です。下記はメーカーページより引用。
4系統のHDMI入力のうち2系統は4K入力に対応し、ダウンスケーラーを備え、eスポーツイベントでのゲーム機や4K対応カメラの入出力もコンバーターを介さずにシステムを構築できます。
との事。背面の端子を確認すると「4K SCALER」と書かれた端子が二つありますね。
配信としてはまだまだHDが主流ですが、映像ソースそのものは4Kがかなり増えてきている昨今、スイッチャーが受け皿として対応してくれるのはかなり嬉しいです。
ライブスイッチングの現場では4Kがまだまだ一般的でない分、お手持ちの機材を色々と使いこなしたいお客様にとって、良いチョイスになりそうですね。
この端子は流石にV-160HDやVR-120HDも後からアップデートで対応、なんてことは出来ないと思いますので、V-80HDの大きな強みになるかと思われます。
この端子は流石にV-160HDやVR-120HDも後からアップデートで対応、なんてことは出来ないと思いますので、V-80HDの大きな強みになるかと思われます。
この2つの入力には、さらにTHRUアウトも備わっているので、ソースが4K/フルHD問わず、単にゲーム映像をスイッチャーに受けた上で、プレイヤーのモニターへ返したり、パワーポイントのスライド映像をそのまま登壇者に返すような使い方も出来ます。
シンプルに分配器としての用途も持ち合わせている点も優秀ですね。
ここ最近のRoland製品は、VシリーズとVRシリーズで独自と思われていた機能がどんどん融合しています。
今なお明確な違いとしては、
・VRシリーズはオーディオの入力数、フェーダーがある事。
・VシリーズはTバーがある事くらいです。
それ以外の最新機能はSR-20HD、VR-120HD、VR-6HD等から多くの機能を受け継いでおり、今回遂にVシリーズとしては初のPCレス配信&SDカード収録も可能になりました。
また、音声フェーダーが無いからといって、内部の音声ミキサーに手を抜くこともありません。
配信対応、操作性など好評な最新機能もしっかり継承した、「Vシリーズ最新型」
その他の機能に関しましてのお話なのですが…ここ最近のRoland製品は、VシリーズとVRシリーズで独自と思われていた機能がどんどん融合しています。
今なお明確な違いとしては、
・VRシリーズはオーディオの入力数、フェーダーがある事。
・VシリーズはTバーがある事くらいです。
それ以外の最新機能はSR-20HD、VR-120HD、VR-6HD等から多くの機能を受け継いでおり、今回遂にVシリーズとしては初のPCレス配信&SDカード収録も可能になりました。
また、音声フェーダーが無いからといって、内部の音声ミキサーに手を抜くこともありません。
各音声入力には3Band EQやコンプレッサー、ノイズゲート、ディレイなどを備え、AUXミックスバスまで2つ備えます。
ありがたいことにXLR端子が入・出力ともしっかり備わっているので、音声さんとのやり取りもスムーズに行えます。
あと気になったのが、本体のアサイナブル・パッド。
最近流行りのカラフルなゲーミング〇〇的なボタンですが、こちらには8ボタン×8バンクと64の機能を登録できます。(シーン・メモリー、マクロ、シーケンサーステップの呼び出し、オーディオやビデオの再生、配信の開始/停止など)
なんとなくVR-6HDの左上にあったボタンを思い出しますが、こちらはBGM、SEの再生・停止ボタンでした。
今回のV-80HDではもちろんBGMの再生ボタンとして割り当てる事もできますし、逆にBGM系は全く使わずに8つのボタンを他の機能に割り当てる、なんて事も出来るわけです。
なんならV-80HDにGraphics PresenterをインストールしたPCをUSB接続すると、Graphics Presenterの機能を制御する事も可能という事なので、用途に合ったカスタマイズが可能で、様々な業種の配信内容に対応出来ますね。
あとは、シーン・メモリーをバシバシと切り替えて映像操作するような、ローランド・スイッチャーのヘビーユーザーにとって、AUXの操作ボタン列はそのまま活かしつつこのパッドでメモリー呼び出しが可能になるのは大きな進化かもしれません。
直感的に「色」でボタンを見分けて押しやすいのも良いですし、これは今後のV・VRシリーズにも引き継がれて欲しいところです。
最近流行りのカラフルなゲーミング〇〇的なボタンですが、こちらには8ボタン×8バンクと64の機能を登録できます。(シーン・メモリー、マクロ、シーケンサーステップの呼び出し、オーディオやビデオの再生、配信の開始/停止など)
なんとなくVR-6HDの左上にあったボタンを思い出しますが、こちらはBGM、SEの再生・停止ボタンでした。
今回のV-80HDではもちろんBGMの再生ボタンとして割り当てる事もできますし、逆にBGM系は全く使わずに8つのボタンを他の機能に割り当てる、なんて事も出来るわけです。
なんならV-80HDにGraphics PresenterをインストールしたPCをUSB接続すると、Graphics Presenterの機能を制御する事も可能という事なので、用途に合ったカスタマイズが可能で、様々な業種の配信内容に対応出来ますね。
あとは、シーン・メモリーをバシバシと切り替えて映像操作するような、ローランド・スイッチャーのヘビーユーザーにとって、AUXの操作ボタン列はそのまま活かしつつこのパッドでメモリー呼び出しが可能になるのは大きな進化かもしれません。
直感的に「色」でボタンを見分けて押しやすいのも良いですし、これは今後のV・VRシリーズにも引き継がれて欲しいところです。
どんな人におすすめ?
近年Roland製のスイッチャー・ミキサーは、非常に完成度が高いものが多く、筆者としては昨年のVR-6HDで、ある種一つの到達点を見たとも感じました。しかしながらV-80HDはまた一つ違うアプローチを行いながらも確かな進化を感じさせるモデルですね。
何にせよ、過去の記事でもご説明しましたがスイッチャー選びでまず一番大事なのはHDMIとSDI、それぞれの入力数です。
本モデルはSDIが4系統、HDMIが4系統である事から、例えば
SDIでカメラを4台接続、HDMIはPC2台接続で素材用。あとは持ち込みPC等の予備に2つ残しておくといった構成などで考えると、業務用スイッチャーとしてバランスの良い運用ができそうです。
プロ機としてまとめつつも、Graphics Presenterの対応やその他使い勝手の良い機能面などから、この製品からスイッチャーに触れる方にも安心しておすすめできる、懐の広さも持ち合わせている機材と言えるでしょう。
という事で本機は
・ライブ配信を生業にする方のメインスイッチャー
・イベント時の大型ビジョン出力用スイッチング
・テレビ局やケーブル局でのサブスイッチャーや中継用途
・ストリーマーのハイエンドスタジオ構築用
・教室・講義室・議場システムなどの映像設備
といった用途にマッチすると思われます。
まとめ
今回は新機能を中心に解説いたしましたが、Roland製品の良さの一つとして、既存の機能が優秀な点が挙げられます。(シーンメモリーやオートスイッチング、各種オーディオエフェクト等)これらに関しましては過去の記事や動画などでもご説明しておりますので割愛しますが、今後も弊社のコンテンツ(Youtube等)にて本製品を特集いたしますので、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。