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【待望のカムコーダー】SONY HXR-NX800とPXW-Z200が9月13日に発売予定。機材屋の目線で解説#1

2024/08/29

 



いつもありがとうございます。株式会社 機材屋です。

今回はSONY HXR-NX800とPXW-Z200を、業務用ビデオカメラを30年以上販売してきた機材屋目線で解説いたします。

8/20、ソニーより衝撃の新発表

2010年代を代表するソニーの業務用カムコーダーといえば、HXR-NX5R

Z5J、NX5J、NX3と続くソニー製HDカムコーダーの系譜の完成形のようなモデルで、未だ現役でお使いのお客様も多く、今でもテレビ番組を見ているとNX5Rがチラっと映り込むことがあるくらいです。

2021年の販売終了から3年。弊社では元々こういったカムコーダーを主軸に販売してきましたので、今回の発表は非常に嬉しいばかりです。

特にここ近年 大判カメラで培われた独自の技術やAI技術の進歩により、ソニーカメラの性能、利便性は格段に高まっており、いよいよカムコーダーに移植されるとなると期待せずにはいられません。

HXR-NX800とPXW-Z200はHXR-NX5Rの後継機といった位置づけではありませんが、果たして「2020年代を代表するソニーの業務用カムコーダー、即ちNX5Rの再来」となり得るのか。

機材屋コラムでは数回に分けて特集いたします。


HXR-NX800とPXW-Z200の違い

こちらはシンプルに、

・SDI端子・TC端子の搭載(Z200)/非搭載(NX800)

・XAVC(MXF)記録の対応(Z200※)/非対応(NX800) の違いです。

※「XAVC(MXF)記録の対応、非対応」については発売時点では記録方式は同等。2025年6月以降のソフトウェアアップデートで、Z200のみXAVC (MXF) 記録に対応予定とのことです。



ここは押さえておきたい、最重要スペック

まずは最も多いであろうご質問に対してのご回答。

Q)センサーサイズは?

A)1.0型です。

同じソニー機ですとPXW-Z150(2016年発売)やPXW-Z90(2017年発売)が同サイズですので、業務用カムコーダーとしてはかなり久しぶりです。他メーカーですとCANON XF605や、ジンバルカメラですがDJI Pocket3なんかも1型ですね。


Q)レンズ倍率※光学は?

A)光学20倍です。

同じ1.0型のPXW-Z150では光学12倍、CANON XF605は光学15倍。

1.0型センサーを搭載したカムコーダーで光学20倍は、JVCのGY-HC500&550くらいでしたが、満を持してのソニー機での搭載。これは非常に嬉しいです。

ちなみに…「ワイコンって出ないんですか?」というご質問を一部のお客様より頂きましたが、

NX5Rの頃の焦点距離が35mm換算で28.8-576mmだったのに対し、HXR-NX800/PXW-Z200は24-480mmとワイド寄りになっていますので、お客様によってはご必要なくなるかもしれません。



Q)重さは?

A)HXR-NX800は本体のみで1930g、PXW-Z200は1960gです。

PXW-Z150は1895g、XF605は2010g。ここはあまり大差が無いイメージですね。

この重さであれば、NX5R等で使用していた三脚なども引き継げそうです。

ちなみにPXW-Z190なんかは2.3kgでしたので、このあたりのカメラをお持ちのお客様には大きく違いを感じられます。


Q)今までのソニーカムコーダーと、どう違うの?

A)これはお客様がお持ちのカムコーダーを例えに出してお答えします。


■HXR-NX5Rなどをお使いのユーザー様

HXR-NX5Rはセンサーサイズが3板式のセンサー1/3型でしたので、そもそも画作りが違います。また、NX5R全盛期の頃に言われていた「1型はフォーカス迷いがあるから…」といったお声も今は昔の話、現在はソニーのファストハイブリッドAF&最新AIによる追従により、比べ物にならない程進化しております。

また、そもそもNX5Rは4K記録に対応しておりませんね。


■PXW-Z150をお使いのユーザー様

同じ単板1.0型という事で意識されるユーザー様も多いかと存じます。やはり最も大きな点はAFの進化とズーム倍率ですが、その他機能にも多くの違いが挙げられます。

PXW-Z150は4K30pまででしたがNX800では4K60p、HFR記録で最大4K120pまで対応します。

なおZ150やNX5Rで採用されていたバッテリー「NP-F970」はNX800やZ200では使用出来ませんのでご注意を。


■PXW-Z190、PXW-Z280をお使いのユーザー様

Z190は3板式センサー1/3型、Z280は3板式センサー1/2型ですので画作りが大きく異なります。3板式は色の表現力は良好なのですがセンサーサイズが小さいため解像感がもう少し・・・とお考えだったかと思います。

加えて、前述の通り本体重量に差があります。Z190、Z280はちょっと重めですね。

なおバッテリーはBP-U35、U70、U100が対応となります。

※「BP-U60・U60T・U90T」は非推奨、「BP-U30」は非対応です。


■FXシリーズ(シネマカメラ)をお使いのユーザー様

ビデオグラファーの方など、FX3をはじめとする大判センサーをお使いのお客様からのご質問も、特に今回の2機種の発表から頂くようになりました。

若いビデオグラファーの方々がカムコーダーの分野に手を伸ばして頂けるのは実に喜ばしい事です。

しかしながらこのカメラの立ち位置を理解してご購入頂きたい思いがございますので、こちらは今後別の記事で特集いたします。



HXR-NX5Rとのデザイン比較

多くの方が見慣れたHXR-NX5Rと、今回のHXR-NX800のデザイン比較画像を作成してみました。


ご覧のようにボタンが少なくなっており、平面が増えたイメージです。

(タッチパネルで出来る事が増えたからでしょうか)

全体的に丸味を帯びたデザインになっており、FX6と同じボタン配置になっています。

またSNS上などで賛否が分かれておりますが、3連リングの廃止によりコンパクトさと高倍率を両立しています。


3連リング廃止をどう捉えるか

避けては通れない3連リング廃止の話題。

IRISがダイヤル式になり、撮影時スタイルを変えなければならないお客様もおられるかと存じます。長くソニーの業務用カムコーダーを使い込まれてきたお客様ほど、このスタイルにネガティブな印象を受けるかもしれません。

しかしながら、2025年のアップデートで、リングへの機能アサインが可能となります。

今回の2モデルはAF技術の進化に伴い、「フォーカスはAuto任せ、ズームとアイリスはリングにアサインして使用」という流れに持っていきたいといったSONYの思惑も見え隠れしているように感じました。

「Auto任せは心配・・・」という方へは「画面タッチAF(追従)」や、顔検出された中で「優先AFしたい顔をマルチセレクターで選択できる」といった足りない部分を補う技術が多く搭載されています。

こちらに関しましては、発売後に購入された方のレビューを見て頂く事や実際に触って頂いてご判断を頂くのがベストだと考えております。弊社でももちろん展示機をご用意いたします。


αシリーズやVLOGカムから引き継いだ機能をもっと知りたい

今回の2機種、久々のカムコーダー登場という事で、「姿勢推定技術」など説明文の中に聞き慣れない語句があるかもしれません。

これらの機能はαシリーズやVLOGカムからの移植されているパターンもあり、弊社も過去にそれらの特集を組んだことがありました。

「オートフレーミング」


こちらは過去に弊社がZV-E1の特集時に行った映像です。

しかしながらこの動画そのままの事が出来るわけではないのでご注意ください。

動画内ではiPadアプリ(Creators' App)で操作をしていますが、HXR-NX800とPXW-Z200は非対応。本体で操作をする事になります。

また、代わりになるアプリが今後リリースされるのかも不明。

加えて、前述のようにクロップを行いますのでフルサイズのZV-E1の解像感にどこまで迫れるかの検証が必要そうです。


「姿勢推定技術」


(1分38秒頃から)姿勢推定技術はα6700の動画にて解説しておりました。

HXR-NX800とPXW-Z200に搭載されているBIONZ XRも語られていますね。


最新AF+1型センサー。「使えるカメラ」は柔軟性と共にアリ

今回のHXR-NX800、PXW-Z200のアプローチは、「深く考えずに色んな現場でガシガシ使えるカメラ」という印象を受けました。

ボディでは、

「まとまったボタン配置」や、「重心の見直しによる持ち運びのし易さ」

「角の少ない形状で出し入れし易い」などなど。

内部では、「4K60p記録において画質と長時間録画を両立」

「フルサイズカメラでも採用されている素早く正確なAFを、1型センサーの本機に搭載。」

「レンズも高倍率で一体型の為、立ち位置がはっきりしている」

これらを推察していくと自ずと導き出されるのがカムコーダーに必要とされる「取材や長回しでの撮影など、様々な現場に対応出来る柔軟さ」を、より高い次元で実現したいというソニーの思惑。

「汎用性・柔軟性」の面は、HXR-NX5Rも高く評価されていた点ですので、これが現代のカメラ事情に合わせ刷新されたモデル、それがHXR-NX800、PXW-Z200と言えるでしょう。

また、今後の特集でも掘り下げていくお話でもありますが「何度でも撮りなおせる」現場と、「一度しか撮れない」現場では大きな違いがあります。

その中で「失敗を防ぐ」「対応出来る」「機動性に富んでいる」、それらが「一台で完結している」のがカムコーダーの強みであると考えております。

そこでソニーがこの時代に生み出した2機種が、この業界にどのような影響を与えていくのか。今後がとても楽しみです。