いつもありがとうございます。株式会社 機材屋です。
人気の定番スイッチャー、ローランド V-160HDが2024年2月に大幅バージョンアップ。
『V-160HD Ver.3.00』となりました。※追記:2/27に修正されv3.01に変更
Roland V-160HD
ストリーミングビデオスイッチャー
もともと非常に高い評価の本機ですが、今回のアップデートは新しいモデルとして新販売されてもおかしくないくらいの内容です。(しかも無償アップデート)
これからスイッチャーを導入される方や、他社製スイッチャーを運用中の方もぜひご覧ください。
まずはその内容を見てみましょう。
●映像 AUXバス、音声 AUXバスが追加。それぞれ3AUX系統に大進化
●iPad/PC/Macによる映像プレビューと快適スイッチング
●音声エフェクトの追加と、ミックス操作の操作性向上
●PTZカメラの操作性向上
下記より、ご説明いたします。
映像 AUXバス、音声 AUXバスが追加!それぞれ3 AUX系統に大進化
一つ目は、まさかの基本スペックの進化です。
筆者はここが一番驚きました。『AUXって増やせるものなの!?』と…(笑)
今回の新ファームウェアで映像のAUXバス、音声のAUXバスが、それぞれ3系統と一気に増加。
AUXバスとは、メインで出力する映像・音声とは異なる内容を別途出力したいときに活用します。
こちらについては過去にVR-6HDの解説動画の中でも語っておりましたが、これが増えるとどうなるか、例えも交えつつご説明します。
・映像AUXバスの追加
例えば、映像バスでは…
●メイン出力(PGM/PSTバス)を会場の大型LEDビジョンに投影
●AUX1はその隣に配置されたサブ用途の液晶ディスプレイに映像を送る
●AUX2には登壇者に返しの進行表映像を送る
といった事を1台で行えます。
これまではこのAUX出力が1つしかなかったので大きな進化点ですね。
ちなみに以前Ver.2.00で追加された、AUXバスにPinP合成やDSKをON/OFFする機能もそれぞれで個別に設定可能です。
となれば、登壇者の返しモニターにのみ時計をKEY合成して返す、みたいな活用も出来そうです。用途の幅がグンと増えましたね。
AUX1.2.3は本体での切り替えも簡単に可能です。
・音声AUXバスの追加
音声AUXバスでは、
●メインミックスを配信用に使用
●AUX1は会場音響送り
●AUX 2はスタッフコミュニケーション用音声
●AUX 3は録画送り用
などの系統構築ができるようになりました。音響卓の持ち込みが減らせますね。
AUXバスのミックスはプリフェーダー仕様として使えるので、音量調整時にそれぞれのミックスに影響を及ぼさず、不用意なトラブルも防げます。
・出力の自由度
どの映像バスをどの端子から出力するか、どの音声バスをどの端子から出力するかをマトリクス的に設定可能です。手持ち機材や会場機材に合わせて接続方法が選べるのもV-160HDのうれしいポイントですね。
iPadアプリ・PC/Macソフトによる映像プレビューと快適スイッチング
この機能に関しましては2023年のInter BEEの際に先行お披露目され大盛況だった為、正式リリースを心待ちにしていたユーザー様も多いかと思います。
・アプリでモニター&スイッチング
iPadとV-160HDをUSB-C接続して無償アプリ「V-160HD Remote」を利用すると、iPadでリアルタイムに映像をモニターしながらのスイッチング操作が可能になりました。
※使用可能なiPadは事前にお調べください。
アプリ画面右側に「USBモニター」ボタンが新設され、タップしてモニター表示画面に切り替え、どの映像を見たいのかバスを画面上部から選びます。
画面下部でスイッチングしたいバス(PGM/PST、AUX)を選ぶと、それに応じた映像操作のボタンが表示されます。PGM/PST操作ではちゃんとTバーも表示されていますね。
・AUX操作
一番の注目はAUXバス操作です。
3系統の状態を一気に見渡し、マトリクス・スイッチャーのようにスイッチング可能です。この時に16インプットビューをiPadに表示させておくと映像の全入力とAUX出力の一元管理が実現します。
「メイン映像の切り替えは本体で」「返しモニターやサブディスプレイなど、その他の予備映像の演出はiPadで」といったツーマンオペレーションも簡単にセットアップできそうですね。今までスイッチャー2台使いで構築していた現場も、iPadの活用でこなせるようになりそうです。
ちなみに画面上の「対象」という設定をAUX1~3のいずれかに選択すれば、16インプットビューの画像を直接タップすることで映像切り替えが可能です。
これにより「演者への映像返しでタイムスケジュールを一時的におくる」などの操作が各段に行いやすくなりました。(16スチルビューにアクセスし「残り5分」みたいな静止画をAUXで出力する、なんてことも容易に行えそうです)
単にiPadを外付けモニター的に使いたい場合は、上記ボタンを押すとシンプルな画面に遷移し、モニター映像を大きく表示することもできます。
・PinP&KEYソース 操作
対象を「PinP/KEYソース」に変更すると、その映像の切り替えも同様に素早く行えます。
テレビ番組でよく「ワイプ」と呼ばれる子画面の合成機能ですが、その映像選択も同じく見通しやすくなりました。例えばトーク番組でどの人物を子画面に合成するかといった際に、ミスを減らす事が出来そうです。
・ここは重要。iPadの仕様のご確認を
iPadのUSBモニター機能を利用するには下記のようなiPad端末の条件がある模様です。
・CPU・・・M1コア以降
・OS iPadOS 17以降
・その他 USB Type-Cコネクター搭載
・USB3.0伝送に対応したUSB-Cケーブル
これからご用意される場合はぜひ対応したものが欲しくなりますね。
・従来のリモート操作であれば、上記条件を満たしていなくても可能
USBモニター機能を使わなければ、上記条件を満たしていないiPadでもWiFiやBluetooth接続によるリモート操作は可能ですのでご安心ください。(もちろん古すぎるiPad等はご注意頂く必要がありますが)
PC/Macアプリ「V-160HD RCS」でもUSBモニター機能に対応
「そもそも、iPadはもっていないよ」という方もご安心ください。
ここまでiPadで対応するとご紹介したUSBモニター機能ですが…
なんとMacやWindowsでも対応できるようになりました!(USB3.0接続が必要です)
これもうれしいサプライズです。タッチ操作にこだわらなければ、同一の機能がPCにて使用可能です。
ちなみに、Rolandさんのページを見に行くと既にダウンロード可能な模様です。
V-160HDなしでもどんな画面構成なのか自由に確認できますので、是非お試しください。
↓
https://proav.roland.com/jp/products/v-160hd/downloads/
・iPad/Win/Macアプリの日本語対応
iPad/Mac/PCアプリではいずれも日本語表記が選択できるようになりました。
VR-120HDやVR-6HDなど、ここのところRolandさんの機器が続々と日本語対応してくれているのが嬉しい所です。
音声エフェクトの追加と、ミックス操作の操作性向上
今回のバージョンではAUXバス以外の音声機能も強化されました。ローランドのAVミキサーにフラッグシップモデルのみに備わっていた音声エフェクトが2つ搭載です。
・マスターエフェクト2種が追加!
ラウドネス・オートゲインは長期間の平均的なラウドネス(人間が耳で感じる音の大きさ)を計測し、全体として適切な音量となるよう調整する機能です。ライブ配信番組などの音声ミックスに便利です。
アダプティブ・ノイズ・リダクションは入力音声を継続的にモニタリングしながら無音時のノイズを特定しノイズ成分のみを取り除く機能です。単なるノイズゲートとは異なるノイズリダクションのようで、収音環境の良くない現場で一度試してみたいですね。
・アプリでの音声ミックスも快適に進化!
先ほどご紹介した最新バージョンのアプリで音声ミックスを行う場合、ひとつの画面に特定の入出力音声を8つ選んでフェーダー表示できる機能「カスタム」があります。
積極的に操作する音声だけをここに表示できるので、本番時のミックスも落ち着いて対処できそうです。
PTZカメラの操作性向上
ほかにも注目の内容が、PTZカメラ操作の機能向上です。
・テンキーの活用
もともとVer.2.00からの機能としてUSBテンキーを接続すれば、それでV-160HDを操作することが出来るようになっておりましたが、PTZカメラ操作は特定のマクロをキーに設定してプリセット呼び出しすることのみで、直接キーを押してレンズをズームしたりパンニング操作することはできませんでした。
Ver.3.00はそれが可能になり、例えば「4」を押せば左に旋回、「6」を押せば右に旋回、のような直接操作が可能になりました。
各メーカーの純正PTZカメラリモコンは高精度な操作が出来て快適なのですが、比較的高価で場所も取ってしまいがちです。たまにズームや画角を合わせる程度で良い、といった頻度であればテンキーで代用可能でおすすめです。
なお機材屋.jpでも各種PTZカメラをお取り扱いしております。導入のお客様は是非下記をご覧ください。
機材屋.jpのカテゴリ:リモートカメラ
・アプリでPTZカメラをモニターしながら操作
USBモニター機能を利用すれば、このようにリアルタイムにモニターを見ながらカメラ操作ができるようになりました。レイアウトが実用的で使い勝手がよさそうですね。
・アプリで4台同時にPTZカメラ操作
このように、4台のPTZカメラを一つの画面で同時操作する画面も新設されました。
昨今 製作の現場でも省力化が叫ばれる中、リモートカメラでそれが実現する事もあるかと存じます。V-160HDはそんな時代にマッチしますね。
総評
いかがでしょうか。
実はこれでもアップデート内容の一部ですがかなりのボリュームです。
その他の細かな内容については、下記をご覧ください。
>Roland V-160HD システム・プログラム Ver.3.0 公開のおしらせ
https://www.kizaiya.jp/new/2024-02-20-155734.html
弊社ではRoland製のスイッチャーを数多くお取扱いしておりますが、V-160HDは改めておすすめの商品です。
皆様のお問い合わせ、ご注文をぜひお待ちしております。
Roland V-160HD
ストリーミングビデオスイッチャー